研究テーマ
爪疾患治療最適化プロジェクト
爪外来を担当する皮膚科医の豊富な専門知識と臨床経験を駆使して、さまざまな爪疾患に対する既存の治療法を検証し、新規治療法の開発も視野に、各疾患の治療最適化を図ることを目的としています。
-研究目的
皮膚科学の中でも爪疾患は非常に専門性の高い領域の一つであり、多くの皮膚科医が苦手としているのが現状です。慶應義塾大学病院皮膚科には、日本でも数少ない爪疾患の専門外来(爪外来)が設置されており、毎月200名以上の患者が全国から訪れています。爪外来では、担当医の豊富な専門知識と臨床経験を駆使して、あらゆる爪疾患を正確に診断し、適切に治療することができるよう、日々研究を重ねています。本プロジェクトは、さまざまな爪疾患に対する既存の治療法を検証し、新規治療法の開発も視野に、各疾患の治療最適化を図ることを目的としています。
-研究概要
爪外来の開設以来、我々は10年以上にわたって巻き爪治療に関する臨床研究を行ってきました。最初の成果として、我々が企業と共同で開発した矯正具(巻き爪マイスター®)が2019年に全国発売となり、非常に高い評価を受けています。さらに、同矯正具による治療効果増強と治療期間短縮を可能とする爪軟化剤の第III相治験が進行中です(2021年5月現在)。
爪乾癬などの炎症性爪疾患では、爪を作る爪母や、爪の土台ともいえる爪床に炎症が起こり、爪の形状や色調の変化や機能障害をもたらします。我々は、閉鎖密封療法を取り入れた局所外用療法を考案し、その有効性を示してきましたが、現在は薬剤選択や治療期間に関する検討を行っているところです。
爪部にはさまざまな腫瘍が発生しますが、特に良性腫瘍の場合には、外科的切除後に爪の変形が残ることを避けることが大切です。そこで、我々は既存の術式を再検討し、より低侵襲な術式への改良に取り組んでいます。