特殊外来のご案内
アトピー外来
曜日・時間
担当医
毎週月曜日 午後
伊東 可寛、川崎 洋、野村 彩乃
第2,4,5週 土曜日 午前、午後
宮川 明大(午前)
川崎 洋、野村 彩乃(午後)
対象
小児から大人までのアトピー性皮膚炎にお悩みの方
診療方針
アトピー性皮膚炎は、慢性に経過し、かゆみのある湿疹をくり返す皮膚疾患です。患者さんそれぞれで症状の経過や生活環境、悪化する原因が大きく異なるため、症状を安定化させるためには、患者さんひとりひとりが病気をきちんと理解され、ご自身に合った治療法や生活スタイルを築くことが重要になります。当院のアトピー診療は、患者さん向けの教室、セミナー、個別指導の機会を充実させているのが特徴です。アトピー性皮膚炎に対する正しい知識を身につけていただいた後、アトピー診療を専門とする担当医が患者さんひとりひとりに対応したきめ細かな診察、治療を行って、患者さんが充実した日常生活を送るお手伝いを致します。
診療内容
日本皮膚科学会のアトピー性皮膚炎診療ガイドラインに基づいた標準治療を行っています。保湿剤外用を中心とするスキンケア指導、ステロイド剤・免疫抑制剤(タクロリムス)による外用治療、抗ヒスタミン剤の内服治療、悪化因子の検索・除去指導を基本とし、患者さんの症状に合わせて、入院治療や免疫抑制剤(シクロスポリン)の内服治療、抗体製剤(デュピルマブ)の注射治療なども行います。
ステロイド剤を外用するとよくなるのだけれど、外用をやめると症状がすぐに再燃してしまうという軽症~中等症の患者さんには、免疫抑制剤(タクロリムス)の週2回程度の外用を続けていただくプロアクティブ療法をお勧めしています。これにより、ステロイド剤の使用が不要となるケースが増えています。
また、2015年度より海外での治療報告を元に、ブリーチバス療法という新しい抗菌治療の外来での導入を開始します。症状の再燃を繰り返している患者さんに対し、適宜ご案内させていただきます。
また、正常な皮膚を保つのに重要なタンパク質で、アトピー性皮膚炎の重要な発症因子として近年注目されている、フィラグリンの遺伝子変異の検索を希望される方には個別に対応致します。
診療の流れ
アトピー外来受診をご希望の方は、まず当院皮膚科の初診外来を受診していただきます。そこで、現在の皮疹の状態、これまでの病歴等を把握させていただいた後、アトピー外来の予約をさせていただきます。その際、できるだけアトピー教室受講を予約していただくよう、お願いしております。
アトピー教室にてアトピー性皮膚炎に関する一般的な知識を正しく身につけていただいた上で、アトピー外来にて患者さん個々に対応する診察、治療を行ってまいります。個別に十分な時間をとった上で日常生活、あるいは治療に関する指導、相談を希望される場合は、アトピー生活指導外来(水曜日午後)を適宜ご予約させていただきます。
また、アトピー性皮膚炎は、世界中の多くの研究者により、病気に関する新しい考え方、検査法、治療法が日々提案されています。当外来を定期通院されている患者さんを対象に、定期的にアトピーセミナーを開催し、患者さんに有用と思われる最新の知識、検査、治療法をお伝えしています。
ー1. プロアクティブ療法
患者さんの多くは、皮疹のある部位にステロイド剤を連日外用し、皮疹が軽快したらステロイド剤の外用をやめ、保湿剤の外用のみを継続するように、担当医から指導を受けてこられたと思います。しかし、ステロイド剤の外用をやめるとすぐに皮疹の再燃を繰り返してしまう患者さんがいらっしゃいます。プロアクティブ療法は、皮疹が元々あった部位に,皮疹軽快後も週1〜3回、抗炎症作用のある外用薬を塗布することで、皮疹の再燃を長期にわたって抑える治療法です。
私たちはステロイド剤よりも長期的副作用が少ないと考えられているタクロリムス軟膏を用いたプロアクティブ療法の有用性を報告しています(日本皮膚科学会誌:124(6), 1141-47,2014)。本治療を導入したことでステロイドの外用量が減り、症状の良好なコントロールを得ている患者さんがたくさんいらっしゃいます。患者さんには、アトピーセミナー内で治療法のご紹介と当院での治療成績のご報告をしております。
ー2. ブリーチバス療法
次亜塩素酸ナトリウムを溶かしたお風呂に入浴する治療法です。次亜塩素酸ナトリウムは、多くの細菌に対して静菌作用を示します。国内では馴染みが薄いですが、アメリカを中心に海外では古くから使用されており、海外のガイドライン(治療指針)に掲載されている、信頼性のある治療法です。当院でも複数の患者さんで大きな効果を認めています。詳しくはアトピーセミナー内でご説明させていただいております。
フィラグリンは、皮膚の最表面の角質層に主に存在するタンパク質です。ヨーロッパでは、20~50%近くのアトピー性皮膚炎患者さんに、国内では27%以上のアトピー性皮膚炎患者さんにフィラグリンの遺伝子変異があると報告され(北海道大学のデータ, 2009年)、アトピー性皮膚炎発症の重要な危険因子として知られています。また、アトピー性皮膚炎にとどまらず、気管支喘息やアレルギー性鼻炎、一部の食物アレルギーの発症とも関連があると言われています。 患者さんには、アトピー教室、アトピーセミナー内にて詳しくご紹介しております。
ーアトピー教室(事前予約制)
当外来を受診して間もない方を対象に、アトピー性皮膚炎という病気の考え方や治療法の実際、日常生活上の留意点など、アトピー性皮膚炎の基礎を勉強していただきます。当院診療スタッフが独自に作成した患者さん用テキストを使用し、1回約1時間(質疑応答含め)、全2回のスケジュールです。(不定期土曜日開催, 15:00-16:00. 受講料: 5250円(全2回分)) 教室を受講された約9割の方は、教室受講前に比べ症状の著しい改善を認めていらっしゃいます(第62回日本アレルギー学会秋期学術大会(2012)にて報告)。
今年度開催スケジュール
第1回:アトピー性皮膚炎の概要・治療(平成27年5/9, 7/11, 9/26, 12/12, 平成28年2/13)
第2回:日常生活での工夫・スキンケア(平成27年5/23, 6/13, 10/10,平成28年1/9, 3/12)
ーアトピー生活指導外来(予約制)
お一人あたり1回30分間の時間を確保し、担当医が患者さんとじっくり向き合って生活上の問題点を洗い出し、症状の安定を図るお手伝いを致します。また、日々の診療やアトピー教室等で生じた個別の質問に関しても対応致します。
ーアトピーセミナー(予約不要)
当外来を定期通院されている患者さんを対象に、アトピー性皮膚炎に関する最新の知見、治療法などをご紹介しています。当外来では、患者さんに有用となる信頼・根拠のある検査、治療は積極的に取り入れるようにしています。